対人援助を考える。

対人援助の仕事を通じて考えたことの備忘録です。

高齢者と将来を語ること

私は,問題の原因を探るよりも,クライアントの価値や,変化を起こすための強みを探るようなアプローチが好きです。いわゆるストレングスベースで,未来志向の立場ですが,一定の年齢以上の方と話していると,「もう年だから,今のままで良い。」という言う…

学会参加記録(2)

最終日(10月6日)の午後は、盗癖と性的問題行動に関するセッションに参加。難しいケースに果敢に挑んでいることが分かる実践発表でした。フロアから、医療費の点数に関する質問がありましたが、確かに、「よし、自分たちもやろう!」と思っても、病院の経営…

2019年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会に参加

標記学会に参加してきました。一番聞きたかったものが自分の登壇時間と重なってしまったのは残念でしたが,スティグマについて考えるシンポジウムは,とても良かったです。普段の業務の中で,依存症を抱えた方のグループをやっているので,実体験と重ね合わ…

公認心理師試験に向けて~認知症

公認心理師受験に向けた勉強を始めましたが,「国会試験の王道は過去問」ということで,ざっと見ているところです。今は,今年行われた第2回試験の問題を取り上げ,詳細に解説している,「公認心理士・臨床心理士の勉強会」というサイトを見ています。 http…

クライアントの感情への応答について

昨日は,1年くらい前から依頼されていた研修会を行いました。学会のプログラムの1つで,最終的な参加者は100名を超えました。普段から共に学んでいる仲間が応援に駆けつけてくれ,滞りなく済ませることができました。 相手の発言,例えば「こんな面倒な…

クライアントにとっての外圧と一体化しないこと

最近,業務の中で,それまでは対象ではなかった方々と関わるようになりました。集団への参加を強く拒み,孤立している方々です。そういった方々に個別に働き掛け,同じ立場の数名で構成するグループへの参加を促しています。最初は完全拒否だった方も,関係…

やりたいこととやるべきこと。

多くの人は、やるべきこととやりたいことの間で生きています。やりたいことばかりに偏ると、様々な生活上の支障が生じてきますし、やるべきことばかりに偏ると、つまらない人生になってしまいます。現実原則に従いつつ、快楽原則を満たすのが、健康な在り方…

新たな発見を導くこと

年末年始は,「Motivational Interviewing in Groups」の中の翻訳されていない章を読むことに費やしました。MIの学習歴は長くなっているので,完全に未知の内容はありませんが,ハッとさせられたのは,クライアントが維持トークを話している時,彼らは既に…

グループワークにおけるリーダーとコリーダー

先日,職場の同僚との会話の中で,グループワークのリーダーとコリーダーの在り方について考える機会がありました。 その同僚とは,少し前まで自分がリーダー,向こうがコリーダーという分担で数か月協働しました。現在,同僚は他の人と組んでグループをやっ…

「学ぶこと」についての雑感

しばらく更新していませんでした。この間,岡山で行われた第18回認知療法・認知行動療法学会に参加し,あるシンポジウムのシンポジストを務めました。思ったよりも盛況で,フロアには斯界のビッグネームの姿もあり,びっくりしました。いくつか聴いた講演…

認知行動療法と精神分析

週末は2つの勉強会に参加しました。1つはケースカンファレンス,もう1つはCRAについて。ケースカンファレンスは,精神分析をオリエンテーションとする人が多いグループで,CRAは行動療法ベースのプログラムです。当然,参加者に重複はありません。 …

発達という視点の重要性~発達障害は特殊な現象ではない~

数年前は、発達障害を有する方と関わることがメインでした。この頃の経験は、自分のなかで一つの核になっています。神田橋先生の「発達障害者は発達します」という名言に励まされ、彼らのちょっとした変化を信じて関わり続けましたし、滝川一廣先生の発達論…

カール・ロジャーズと来談者中心療法再考。

今日と明日の出張のお供は、「全訂 ロジャーズ」にしました。来談者中心療法やカール・ロジャーズについての論述集です。数年前に読んだものの再読です。先週末は、友田不二男の小冊子「非指示的療法」を読むなど、カウンセリングの基本に立ち戻りたいという…

発達障害を抱えた方から学んだこと

今は,発達障害の方を対象とした仕事をしていませんが,数年前までは,まさに発達障害を抱えた方がメインのクライアントでした。悪戦苦闘しましたが,今の自分にとっては,非常に大きな経験となっています。 当時の現場で発達障害を抱えた方を対象とすること…

話を聴くこと~変化をサポートするために~

最近、特に考えることは、「この人は、○○と言っているが、そう言うことによって、何が言いたいのだろう。」、「この人は、○○について話さないが、それは何を意味しているのだろう。」ということです。普段、言葉のやり取りから相手を理解することを仕事とし…

感情に目を向けること。

最近,ある外国人の方と定期的に話しています。もちろん,業務として一定の目的を持った面接です。日本人以外の人と関わる経験はほとんどなかったので,文化が人の育ちや心に及ぼす影響についても考えさせられます。その点は,いずれ書きたいと思いますが,…

支援者としての在り方

初めまして。キャリア約20年の対人援助職です。正体が分からぬよう領域や職種は伏せていますが,文脈から分かってくるものと思います。このブログを開設した意図は,自分の実践に加え,ここのところ,講師として呼んでいただくことが増え,様々な事例につ…