対人援助を考える。

対人援助の仕事を通じて考えたことの備忘録です。

「学ぶこと」についての雑感

 しばらく更新していませんでした。この間,岡山で行われた第18回認知療法認知行動療法学会に参加し,あるシンポジウムのシンポジストを務めました。思ったよりも盛況で,フロアには斯界のビッグネームの姿もあり,びっくりしました。いくつか聴いた講演からも色々と刺激を受けることができ,有意義な遠征となりました。

 最近は,「Motivational Interviewing in Groups」を読んでいます。もちろん,昨年出た翻訳本も持っていますが,残念ながら,訳出されていない章もあります。その中にある,まさに自分の臨床と直接関係する部分を訳しながら精読しているところです。動機づけ面接は,ここ数年で広がっていますが,まだまだ欧米ほどではないでしょう。興味深い本が多く出版されているのですが,日本語に翻訳されていないものが大半です。英語の勉強も兼ねて,自分で日本語に訳していく作業を自分に課していくことにしました。これによって何が得られるのかは,よく分からない部分もあります。要する時間を考えると,他の本を読んだり,勉強会に出たりする方が効率的な学習かもしれません。しかし,この取り組みを続けることで,今の自分にはまだ見えない何かが見えてくることは間違いないという確信があります。

 色々な研修に参加しており,定期的にスーパーバイズを受ける機会もあるし,ありがたいことに講師として招いていただき,様々な領域の専門家と学びあう機会もあります。人との交流から学ぶことが一番です。一方,それと同時に,人から学んだことを一人で咀嚼する時間が必要だし,人から最大限度を吸収できるような自分の構えを醸成する時間が必要であることも間違いないと思います。一人で自分の実践を見つめ直し,書物に向き合うような時間です。良い野菜が育つためには,良質な土が欠かせませんが,その土を作ることに例えられるかもしれません。

 今月は来週以降休みが多く,年末年始もあります。良書を読み,1月中旬に依頼されているワークショップのコンテンツを考えながら,自分の実践を見つめ直す予定です。とりあえず,グループMIの翻訳作業と,ポール・ワクテルの「心理療法家の言葉の技術」の再読を自分に課し,年末年始を過ごしていきます。何が見えてくるのか,それを1月のワークショップの中にどう活かすことができるのか楽しみです。

 

心理療法家の言葉の技術[第2版]―治療的コミュニケーションをひらく

心理療法家の言葉の技術[第2版]―治療的コミュニケーションをひらく