対人援助を考える。

対人援助の仕事を通じて考えたことの備忘録です。

認知行動療法と精神分析

 週末は2つの勉強会に参加しました。1つはケースカンファレンス,もう1つはCRAについて。ケースカンファレンスは,精神分析オリエンテーションとする人が多いグループで,CRAは行動療法ベースのプログラムです。当然,参加者に重複はありません。

 自分自身は,基本的にはCBT,それも認知療法というよりも行動分析学が大好きです。しかし,最近は精神分析も少し学んでいます。精神分析系の人はCBTを表層的と評しますし,CBTの人は精神分析には根拠もエビデンスもないと言います。その人の好みで良いと思いますが,両方をつまんでいる者としては,どちらからも学ぶことはあります。というよりも,理解の枠組みや説明の仕方が違うだけで,起こっていることに大きな違いはないのではないかと思うのです。さすがにカウチに横になって毎日という正式な精神分析は別として,精神分析的な心理療法のことですが,無意識下に抑圧されたものを洞察することで変化が起こることと,中核信念が修正され,行動が変化することの違いは何でしょうか。アプローチの仕方は違いますが,それは,Aという道を選択するか,Bという道を選択するかの違いであって,結局,目指しているところは同じような気がします。どちらも,クライアントの認識の枠組みが変わることで変化が生じています。行動分析では中核信念をターゲットとしませんが,それでも,認知を「言語行動」と捉え,それが行動にどう影響するかは,「ルール支配行動」として整理されています。その辺は,いわゆる第3世代の認知行動療法として,認知の機能を変えるという視点が提唱されています。分析的に言うところの「洞察が進むと,今まで自分を支配していた考えから解放される」のだとすると,それは認知の機能が変わったことと同じなのではないかと思うのです。こういった考えを強化してくれたのは(この表現が自然に出てくる自分は,やはり行動療法に親和性が高いのでしょう),岡野憲一郎先生の「心理療法/カウンセリング 30の心得」の中の「心得7 心理療法には精神分析認知療法も同時に起きている」という項でした。ご一読をお勧めします。

 

 

心理療法/カウンセリング 30の心得

心理療法/カウンセリング 30の心得

 

 

 引き続き,クライエントの役に立つのではないかと思う様々なアプローチを学び続けていきたいと思います。