対人援助を考える。

対人援助の仕事を通じて考えたことの備忘録です。

新たな発見を導くこと

 年末年始は,「Motivational Interviewing in Groups」の中の翻訳されていない章を読むことに費やしました。MIの学習歴は長くなっているので,完全に未知の内容はありませんが,ハッとさせられたのは,クライアントが維持トークを話している時,彼らは既に知っていることを話しているに過ぎない,という内容の一節でした。そこに新たな発見はないということです。

 こう考えると,クライアントの発言がチェンジトークであったとしても,新たな発見を伴わない内容であれば,行動変容に繋がらないということが言えるかもしれません。最近のMIの研究の中で,チェンジトークと結果との関連が見られなかったというものがありますが,クライアントが新たな発見をしているか否かが関係しているのでしょう。つまり,フォーカシングで言うところの「体験過程」が重要ということです。普段の臨床では,フォーカシングの手続きを用いることは難しいので,どのような質問や聞き返し,面接の組み立て方が少しでもクライアントの実感や新たな発見を伴ったチェンジトークを引き出すことになるのか考えていきたいと思います。

 今年も実践しながら,多くを学び,このブログを通じて考えを整理していくつもりです。