対人援助を考える。

対人援助の仕事を通じて考えたことの備忘録です。

2019年度アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会に参加

標記学会に参加してきました。一番聞きたかったものが自分の登壇時間と重なってしまったのは残念でしたが,スティグマについて考えるシンポジウムは,とても良かったです。普段の業務の中で,依存症を抱えた方のグループをやっているので,実体験と重ね合わせながらの聴講でした。以前にも講演を聞き,著書も購入した小林桜児先生のお話は,とても納得のいく内容で,やはり依存症の本質は,人間関係の問題だということを再認識しました。人が感情をコントロールする能力の容量は決まっており,過去の逆境体験によって,感情をコントロールせざるを得ない体験を積み重ねてきた人は,その容量が低下しており,それが物質使用などに関連している,とのことです。他の先生のお話も,非常に分かりやすく,普段の実践を見直す良い機会でした。自分の中に,依存症を抱えた方に対するスティグマはないのかと問うと,全くないとは言い切れないかもしれません。成瀬先生もおっしゃっていましたが,スティグマを持つのは人として当然だが,専門職として,自分の中のスティグマに対して自覚的になっておく必要性があるのでしょう。今回の学会に参加して感じたこととして,もう少し当事者の方との交流を持つことも大切ではないかということです。各団体のフォーラムなどには,できるだけ参加しようと思いつつ,なかなか都合がつかず,参加できないことも少なくありません。現在,交流がある当事者の方は,私が企画した勉強会や依頼を受けた講演会などに来てくれる方が中心です。少し受け身になっているのではないか,オープンミーティングに顔を出すなど,自分から出ていく機会をもう少し作った方が良いのではないか。自分の中にある依存症に対するスティグマを見つめる上でも,当事者の方々との交流をもっと大切にしたい。そんなことを思う機会になりました。参加費は高いですが,やはり学会に出ると刺激を受けることができます。