対人援助を考える。

対人援助の仕事を通じて考えたことの備忘録です。

発達障害を抱えた方から学んだこと

 今は,発達障害の方を対象とした仕事をしていませんが,数年前までは,まさに発達障害を抱えた方がメインのクライアントでした。悪戦苦闘しましたが,今の自分にとっては,非常に大きな経験となっています。

 当時の現場で発達障害を抱えた方を対象とすることが決まった時,スタッフが皆で勉強し,何とか受け入れ態勢を作ったものです。私個人としては,発達障害に関する勉強は数年続けていたこともあって,ある程度の心構えは持っていたので,それほど慌てることはなかったのですが,実際に始まってみるとどうなるのだろうと,期待よりも不安があったことを覚えています。

 発達の凸凹に対応した支援をすることで自尊感情を回復するという方向性は良かったのですが,いざ始まってみると,「それは違うのでは・・・」という対応が見られるようになりました。指先が不器用な人がいるだろうと予想するのは良いのですが,本来の生活の中では避けられないような作業を本人にさせず,スタッフがやってしまうのです。もちろん,1人1人の特性を十分に見極めたうえで,Aさんにはさせるが,Bさんの場合は,こっちの課題をクリアしてから取り組ませる,のような形なら良いのですが,全く問題なくできる人にまでさせないという動きが見られました。施設としての方向が??の連続でしたが,1年後,私が発達障害の方々の担当になり,徐々に是正しました。最初に行ったのは,「毎日洗濯すること」です。その中で,洗剤の匂いが苦手である,洗濯機の容量をはるかに超える洗濯物を入れてしまう,といったことが毎日のように起こりました。もしかすると,「だから言わんこっちゃない。」と思った人もいたかもしれません。しかし,こういった日々の出来事を通じて,彼らとの関係を築き,そして,1人1人の特性を把握していくことができたと思います。支援者が特性を把握し,それを本人と共通の理解事項とした上で,一緒に対処方法を考えていく。こういった紙を1枚1枚重ねるような取り組みこそが発達障害の方々の自己理解を促し,対処できたという感覚に繋がり,自尊感情を回復することに繋がったと確信しています。

 発達障害を抱えた方々との関わりを通じて学んだことは数多いです。また,他職種の方々との支援会議のような機会から学んだことも多々あります。時々,当時学んだことを整理する意味でも,このブログに書いていこうと思います。